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【右】
與(あた)ふれば通利(つうじ)を催進(すゝめ)て神経(しんけい)を刺衝(ししやう)し其他(そのた)體(からだ)の温(ぬくゐ)を平(へい)
等(とう)にならしむる等(とう)の効(こう)は實(じつ)に百般(ひやくはん、すゝやか)の飲料(のみりよう)にして一(いつ)も
此右(このみぎ)に出(いず)るものなし古來人/食餌(しよくじ)を絶(た)ち唯(たゞ)水のみを飲(の)
みて二十日外命(はつかあまりいのち)を續(つなげ)りと雖(いはども)全(まつた)く水を絶(た)つときは三日
を経(すぎ)ずして死(し)に就(つ)くとなん嗚呼(あゝ)水は貴(たつど)び重(おも)んずべき
もの哉(かな)俚言(ことわざ)に雙親(おや)の恩(おん)は報(むく)はるゝとも水の恩(おん)は報(むく)ひ
難(がた)しとは實(じつ)に金言(きんげん)なり
以上/説(と)く如(ごと)く水は人生(じんせい)を營養根元(やしなふもと)なれど又(また)人生(じんせい)を障(そこ)
害(なふ)原因(もと)となる今其事理(いまそのことがら)を述(のべ)ん往古(むかい)英国(ゑいこく)の都府(みやこ)に一箇(ひとつ)
の用井(つかひゐど)あり其水を飲みし者は【病名左線】窒扶斯(チブス)病(びやう)《割書:疫|病》に罹(かゝ)り其水
【左】
を飲(の)まざる者は近隣(きんべん)に住居(すまゐ)せるとも其/疾病(やまひ)の感染(うつる)ざ
りしとなん依(よつ)て当時(とうじ)英国(ゑいこく)は大に飲水(のみゝづ)を注意(ちうい)することと
なれり又[バーセ]府と云へる所の学校(がくかう)あり其校の周圍(ぐるり)
に小河(おかは)あり一日(あるひ)【病名左線】虎列刺病(これらびやう)を感受(うけ)し旅客(たひうど)の来(きた)りて其/上(かは)
流(かみ)へ大便(だいべん)を為(な)したる所其/学校(がくかう)の生徒(せいと)多(おほ)く夫れが為(た)め
に其/病(やまひ)を感受(うけ)たりと我(わが)
日本に於いても前年(ぜんねん)【病名左線】虎列刺/流行(りうこう)の時/他国(たこく)に比較(くらぶ)れば大
阪の地に最(もつとも)多しとす是全(まつた)く河水の不潔(ふけつ)なるもの或
は井水とても市街(まち)の人家(じんか)稠蜜(つみ)たる故多く厠(かはや)又は
不潔(ふけつ)なる溝渠(みぞ)に近き位置(ところ)にあれば自然(しぜん)と汚穢(よごれ)或は腐(く)