翻刻
【右丁】
ならば糠(ぬか)を減(げん)じて塩(しほ)の方二升/余(あまり)も増(ま)し五七年ならば
四升/斗(ばか)りも増(ま)すなり一ヶ年にあてれば塩(しほ)七八合ほど余分(よぶん)に
すべし大根も並(なみ)より五六日ばかり乾(かわ)き過(すぎ)たるやうに
ほして漬(つけ)るなり是(これ)とても水の十分にあがりたるとき
一端(いつたん)圧(おし)をゆるめて大根に塩水(しほみづ)を吸(すわ)して又/元(もと)のごとくに
押(おし)をかけるなり沢山(たくさん)に漬(つけ)る時(とき)は桶(おけ)を三ッ位(ぐらゐ)積重(つみかさね)るも
よし
因(ちなみ)にいふ多年(たねん)たくわふ桶(おけ)には塩(しほ)の分量(ぶんりやう)年月(ねんげつ)を
一々(いち〳〵)樽(たる)に書付(かきつけ)置(おく)べきなり年月(としつき)すぐれば見
【左丁】
わけがたきものなり
沢庵(たくあん)百一漬(ひやくいちづけ)
秋(あき)茄子(なすび)を塩圧(しほおし)にして蓄置(たくわへおき)春(はる)はやく口をあける
沢庵漬(たくあんづけ)の大根の間(あいだ)に右の塩押(しほおし)茄子(なすび)を挟(はさ)みつける
なり《割書:塩押茄子のつけ|やう末に出せり》一桶(ひとおけ)に常(つね)より塩五合も減(げん)じて
よし茄子の塩/出(いづ)る故(ゆへ)なり大根の風味(ふうみ)も至(いたつ)て加減(かげん)
よく茄子(なすび)にも大根の甘(あま)み移(うつ)りて味(あじわ)ひよし春(はる)の香(こう)の
物になすびはことさら珍(めづら)しく客(きやく)遣(づか)ひにも成(なる)べき
なり是(これ)を百一漬(ひやくいちづけ)といふ