翻刻
【右丁】
赤い蓮根(れんこん)を用ひ鮓(すし)を漬(つける)にはせび【ぜひヵ】紅生姜(べにしやうが)を遣ふ
こと常(つね)の事なり
此(この)梅酸(うめず)にしそのしぼり汁(しる)を入て徳利(とくり)にたくわふべし
料理(れうり)にはをり〳〵入用の物なり
青梅漬(あをうめづけ)
青梅(あをうめ)の若(わか)きうちにとりて一夜(いちや)水(みづ)に浸(ひた)し置(おき)《割書:是は苦(にが)みを|とるためなり》
翌日(よくじつ)水をきりて青梅一斗に塩二升をいれてかろく押(おし)て
漬るなり水あかりたらば其水をこぼしすてざつと洗(あら)ひて
水気(みづけ)をかわかし又すこしふり塩をして漬るなり先(せん)の
【左丁】
水にてはにがみあり其(その)苦味(にかみ)をさりてたくわふべし
ついでにいふ甘露梅(かんろばい)を製(せい)するには右の青梅(あをうめ)の
苦水(にがみづ)を去(さり)て砂糖蜜(さとうみつ)に漬置(つけおき)紫蘇(しそ)の葉(は)に包(つゝ)みて
白砂糖(しろさとう)をふりて軽(かる)く押(おし)をかけるなり
千枚漬(せんまいづけ)
紫蘇(しそ)の葉(は)を一枚(いちまい)づゝ能(よく)洗(あら)ひ百枚二百枚/段々(だん〳〵)と重(かさ)ねて
麻糸(あさいと)にてとぢざつと湯(ゆ)をくゞらせて板(いた)にはさみて水気(みづけ)を
とくとしぼり味噌桶(みそおけ)の底(そこ)に並(なら)べて竹(たけ)をわりて動(うご)かぬ様(やう)に
おさへおくなりみその溜(たまり)自然(しぜん)としみわたりて日(ひ)あらずして