翻刻
【右丁】
たるにても苦(くる)しからず段(だん)々(〳〵)切(きつ)てつけ込(こむ)也/紫蘇(しそ)の
実(み)生姜(せうが)もよし瓜(うり)茄子(なすび)甘塩(あましほ)に押(おし)て水をきりて
漬(つけ)るはことさらよし
精舎納豆漬(てらなつとうづけ)
納豆(なつとう)には瓜(うり)茄子(なすび)丸(まる)にて一塩(ひとしほ)押(おし)て水気(みづけ)をとりて
漬込(つけこむ)がよし一日ほしてつければ味(あじわひ)格別(かくべつ)なれど急(きう)には
つきがたし是(これ)とても生姜(せうが)とうがらし辛皮(からかわ)など入るも
あれば時(とき)の宜(よろ)しきに従(したが)ふべし
枝豆塩漬(えだまめしほづけ)
【左丁】
ゑだ豆(まめ)のさやの青(あを)きをゑらびもぎて湯をくゞらせ
中塩(ちゅしほ)にして焼明礬(やきめうばん)を少(すこ)し加(くわ)へかるく押(おし)をしてたくはへ置(おき)
遣(つか)ふ時(とき)一夜(いちや)塩出(しほだし)してゆでればさやも青(あを)くして生(なま)の枝豆(ゑだまめ)の
ごとし
塩松茸(しほまつだけ)
尋常(よのつね)の塩松茸(しほまつだけ)は塩水にてゆでさまして其(その)塩水(しほみづ)にて
樽詰(たるづめ)にするゆへ匂(にほ)ひもなく味(あぢ)もなし珍客(ちんきやく)をもてなすには
是(これ)に異(こと)なり松茸のかさのつぼみばかりを撰(えら)み蒸籠(せいろう)に
入れ青松葉(あをまつば)をたきてむしとくとさまし松脂(まつやに)を細末(さいまつ)にして