翻刻
【右丁】
のなくねをそてにくらへてもひめきみはたもと
をしほりあへ給はすうき事をのがれんために
出つれともまたたれ人のかたいかなる所へゆく
やらんいくほとなき世中たゞよひあるく
かなしさよとおほしめし御なみたもせきあ
へすしゝう心のうちにおもふやうあはれおな
しくはひるまうのもとにて御かさ参らせ
つる人ならはいかにうれしかりなんよしやまた
この人もたゝ人にてはおはせしせんくさふら
ひみずいじんさつしき【雑色…「ざふしき」とも】うしかひにいたるまて
たゝ人におはしまさすくるまもひあじろもん【檜網代物】
【左丁】
のくるまなりいゑたか【家高…家の格式が高いこと】にてそおはすらんなにこ
とにつけてもけたかくおもふ所に二でうまで
のこうちのさ大しん殿の御しよへそ入ける此中
將殿はいまたつまもいらせ給はぬはゝかるかたも
なく御くるまよせてまつ中将殿おりさせ給ひ
てみすかうしおろさせ御くるまのうちなるひ
めきみをおろし参らせてれうらんの御ふすまの
中におきたてまつり給ふしゝうをはびやうぶき
ちやうひきたてゝそれにふし給へとておかれ
たり中将殿ひめきみの御そはにふし給ひぬ
いつしかなつかしけにてひるほとまて御とのこ