翻刻
【右丁】
十のとしちゝはゝにわかれまいらせてのちはめのと
をたのみていまゝてそたちぬたのみつるめのとにも
わかれいまは一すちにたのみ参らせて候へはいか
てかなけりて候へきおやにおくれし日よりおしか
らさるくろかみをこのつゐてにそりおとしいかならん
山のおくにもとちこもり御ほたひをいのりちゝはゝ
御身もわらはもはちすのゑんとならんとこそいの
り候はんすれともとてなき給ひけれは中将殿心の
うちにおほすやうたゝいまいはすともつゐにかく
れあるまし此事しらせはやとおほしてなみたのひ
まよりの給ひけるけにむねのいたきにあらすちゝ
【左丁】
のめされしほとになにとなく参り候ところに御ま
へにめしおかれて大将殿へわたるへしとおほせら
れけれはたらぬおもひのかなしさにそてにもあまる
なみたをいかゝせんとの給ひけれはその時ひめきみ
おさへたるむねさしおきてふしまろひてなき給ふ
やゝひさしくありてなみたのひまよりの給ふやう
ちゝにもはゝにもわかれまたたのみしめのとにも
はなれていまは一えにたのみ参らせて候うへはかみ
にもいのりほとけにも申て世にわたらせ給はん事
こそうれしくおもひ参らせ候へは大将殿へいらせ
給ふへき御事はめてたかるへき事なれはつゆも