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コレクション: 養蚕の書

蚕養由来 - 翻刻

蚕養由来 - ページ 4

ページ: 4

翻刻

三十有代にあたらせ給ふ欽(きん)明天王の御宇にはしめて蚕 養のある其由来をくわしく尋るにむかし北天 竺(ぢく)国の中 に旧仲(きうちう)国と云国あり其国に王おはします御名をは 霖夷(りんい)大王と申奉る御 后(きさき)を光契(こうけい)夫人と申也又御むすめ 一人まします御名をは金色皇后(こんしきこうこう)と申き有時きさき なやませ給事有次第におもらせ給ひ終にむなしく ならせ給ふ大王をはしめ奉て多くの采女(うねめ)わが朝には 采女と云也内裏の御酒の御しやくなと取女也公卿殿上人 内殿外殿の臣下をはしめ百官六位にいたるまて歎き の袖をかざししゆうしやうのひざを突(つく)事千万也中にも 金色ひめ宮の御なけき尤ふかし天にあふき地にふし かなしみ給へ共かひもなく月日を送り給ふ物も有べきに あらす又后わたらせおはしまさてはとてある国より后をむ かへまいらせ給ひける大王もいにしへの皇后(こうこう)のことくはおほしめされ すあからさま也ひめ君もけい母の御事なれは尤なけきそ増(まさり)けり かゝる所にかの后よの人にかはつて邪見(しやけん)はういつの人也取わけ かのひめ宮をにくみ給ふ事かきりなしけい母の中のなさけなき はかのひめ宮をいろ〳〵にざんけんし給ふあるとき后(きさき)の御たくみに はその国のかたはらに獅子吼(ししく)山と云山有かの山深山にしてそくばく の年月をふるといへ共人の道ふべき事なし其山にすむけたも のには獅子王と云けたものはかり多かりけり一切のちくるいを取 くらふゆへ鳥しゆう虫るい一もなく人倫の影をさす事なしかゝ るおそろしき山へひめ君をなかしうしなふへきとて獄人 に仰ていそき此山へ送りすてられぬけい母けい子の中といゝなから