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コレクション: 養蚕の書

蚕養由来 - 翻刻

蚕養由来 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

うつほ舟に姫宮をつくりこめ給ひてのたまはくなんぢ は生まれる時よりも只人にあらすいかさま仏神三宝の化 身也とおほゆ此国に居てつらき目にあはんより仏法流布 の国にゆられ依る衆生をも済度し給ふへしとて御涙 と共に沖へそをし出し給ふ多の公卿大臣百官万民に いたるまてなこりをおしみ給ふことかきりなし大王は其まゝ 内裏へは還御(くわんきよ)成給はすして其 海(うみ)のほとりに合浦(かつうら)に続(つゞ) ける原有此原は桑の木のみしけりたり此処に殿(てん)をいか にもあさましく作らせ給ひてすませ給ふなり王位をは あさましき事におほしめし世 捨(すて)人と成て姫宮のめされ 出させ給ふうらを朝夕なかめくらし思ひあかし給ふと なんそれより桑原院(くわはらの)と人申き去 程(ほと)に世捨人とは桑の門 と書也世をすつる人とはよすても書り世すて人は世のうき事 をうらみさかりなりし世をすつるを云也世捨人とはうき 世にすみ侘て世に捨られし人也 去程(さるほと)にかのうつほふね舩は 蒼波(さうは)万里をしのきつゝゆられ来るなるやへの塩路(しほち)いつれ いつともしらすしら波(なみ)のうき世にしつむ身の行衛おぼ つかなくおほへたり多の星霜(せいさう)を送りむかへて此秋津(あき〇) 洲(す)のあつまのはてひたちの国とかやとよらの湊(みなと)に よりにけり其うらに権太夫と云浦人有ある時 釣(つり)の 為に小舩にさほさひて海つらへ漕(こき)いつかの太夫此うつ ほ舩を見いたしすはや浮(うき)木のよるによりと思ひ薪(たき)に せんとて浦へ引上うち破(やふり)て見れはかたしけなくや金玉 をみかきたるかことくなる姫君壱人おはすそれ男見て