翻刻
異本(いほん)盛衰記(せいすいき)に
建久(けんきう)五年秋 範頼(のりより)陰(いん)
謀(ぼう)を企(くはだて)るよし景時(かけとき)
讒(ざん)しければ急(いそ)ぎ誅戮(ちうりく)
すべき命(めい)を受(うけ)景時(かげとき)
父子(ふし)三人三百 余騎(よき)を
引率(いんぞつ)して修善寺(しゆぜんじ)に押寄(おしよせ)
けるこの時(とき)範頼(のりより)坊中(ぼうちう)
に小袖(こそで)と大口ばかり
にておはしまし少(すこ)しも
恐(おそ)れず射伏(いふく)し給へば
前駈(さきて)のよせ勢(ぜい)
辟易(へきえき)して敗走する
この間(ひま)に坊(ぼう)に
火(ひ)をかけ自害(じがい)し
給ひけると云々