翻刻
接(せつ)す山の頂(いただ)き南の方に愛宕(あたご)の祠(ほこら)あり北の方(かた)ハ古城(こじょう)|跡(あと)にて
矢倉(やくら)の臺(だい)。石垣(いしがき)。隍(おおほり)。古井(ふるい)。等(とう)の跡(あと)あり此所|太平記(たいへいき)にある康安(かうあん)
元年|畠山(はたけやま)|國清(くにきよ)|入道(ゆうどう)|道誓(どうせい)|舎弟(おと)|尾張守(をわりのかミ)|義深(よしふか)同|式部(しきぶ)|大捕(たいふ)
等(とう)楯籠(たてこも)る修禅寺の城なり○不踰坂(こえんさか)《割書:今戀路と|訛りて云》此所ハ嵐(あらし)
山と城山との峡路(きりどうし)なり源幕府(げんばつぷ)の御臺所(みだいどころ)辻君(つぢぎミ)幕府(ばくふ)御他界(ごたかい)
の後(のち)鎌倉(かまくら)へ帰(かへ)り給ふ時|此(この)峠(とうげ)にいたらせられて修禅寺の方
を見返(みかへ)り給ひ深(ふか)く悲涙(ひるい)し給ふと云○那加宇杜(なかうのもり)《割書:稲荷を祀る|古社なり》
一説にハ畠山(はたけやま)の里第(さとやしき)の鎮守(ちんじゅ)なりと云○硯溪(す〲りざハ)《割書:昔硯の石出|しといふ》○
采金鑛(さいきんくわう)《割書:産石|英》又一|種(しゅ)の蝙蝠(かハほり)あり土人山カハホリと云|其形(そのかたち)
小(ちいさ)く面異(かほき)にして全身(ぜんしん)茶褐色なり糞(ふん)又|常(つね)の夜明石(やめいせき)と同(おな)じ
弘法大師 土産(とさん)|名物(めいぶつ)
今ははや 一 五色箋(ごしきせん)
後世の勤も 一 色好紙(いろよしがミ)
せさり 一 湯晒艾(ゆざらしもぐさ)
けり 一 木實(このミ)の蜜(ミつ)|漬(づけ)
阿吽(あうん)の 一 杜父魚(とふぎょ)《割書:土名カジカ|秋鳴と云》
二字の
あるに
まかせて