翻刻
【右ページ】
芭蕉精(ばせをのせい)
もろこしにて
芭蕉(ばせを)の精(せい)人と化(け)して
物語(ものがたり)せしことあり今の
謡物(うたひもの)はこれによりて
作(つく)れる
とぞ
【左ページ】
硯(すゞり)の魂(たましい)
ある人赤間(あかま)が関(せき)の石硯
をたくはへて文房(ぶんばう)の一 友(ゆう)
とすひと日 平家物語(へいけものがたり)を
よみさしてとろ〳〵と
居ねふるうち
案頭(あんとう)の【=机の上の】硯の海(うみ)の波(なみ)さか
だちて
源平のたゝかひ今みるごとく
あらはれしとかやもろこし
徐玄之(じよけんし)が紫石潭(しせきたん)も
思ひあはせられ侍(はべ)り