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てありけるか聞つけてさなからにはしり岀てあれうれし この
巻うしなひしより さるへきをりにつけてはかた〳〵とあなくり
もとむれと わすれぬることハあやにくなるものにて あまた渡かた
ふけと そこ【其処】なりけんとハおもひよらぬものなるよ おやのしたゝめ給へる
ものにしあれは いかて身にかへてもとおもへと すへなくて通しつるを
なといひていとよろこほひてれしとおもひたるけしきなりけ
れは 帰りてそのよしつはらに【委曲に】のふ【述】れは我も此としころめくりあひて
その人なりけりとしらハ【知らば】かへし【返し】あたへてんとおもひつるかひありてと
よろこはれたるおもゝちまことありてあはれに有かたかりき さる
こゝろもち玉へれはこそ つひに身延山の貫主とあかめられ玉ひ
て去年の春かの御山にハうつり玉へるなれこハくた〳〵しう【くどくどと】
こゝにしるすへき事にしもあらねと上人の有かたかりし御心さし
をものはへ【述ばへ?】まほしくおもへは およはぬ筆のつたなさもわすれての
事なりけり まことやこの幸孝ぬしは市人の長たちてうたへことま
かなひつかふなるかうへにせさ?いもの奉る納屋あつかりてさへつとめられ
たれは かた〳〵につけてのかるへき【逃るべき】ひまなさにはつか【二十日】なるいとまうるをり〳〵
のたのミのみにて通されつるほとに 此ぬしもふとおもひかけなう【思いがけなく】
いミしき【いみじき】やまひにかゝりてよもつ国にまかられたるは たれ人か
をしまさらんや しかハあれとそのいたつきむなしからさらしめし
とさきはひ【幸い】玉ふ神やまし〳〵けんその子幸成主清うあらため
書て今かく世にひろうなりゆかん事このふたりのぬしたちのミたま
しも天かけりて見玉はハ いかはかりよろこひおもはさらんやあハれ