翻刻
【右丁】
時朱墨ヲやめて夫ゟ右の木通の小口ニて
朱硯の中を能こすり夫ゟ認物ニ遣ふべし
至而つやよく出るもの也
●ゑぞにべの事
是ハ蝦夷国ニて用るにべ也町鮫の腹ゟ出る
こはくの如く成る品ニて是ヲゆせんニ入熊【能】あたゝめ
とかし候へハさ水のごとく也是ヲ以竹か木成とも
継候ハヽ放れぬもの也但是ハ松前奉行衆幷ニ
吟味役其外下役人方ニも有之
●歯薬の事 文化十二亥十月五日御腰物方
中村八十郎殿傳之
松のみどり 但みどり無之時ハ す桃の梅干
松かさニ而よし
【左丁】
右弐品當分ニして黒燒となし細末して
貯へ置常に毎朝口中へ含居其後うがい仕る
一生口中痛のうれいなし
●銀燒付の傳 小石川戸崎町正運寺門前
鎗屋長左衛門傳之
しんちう銅の差別なく能みがき夫ゟ炭ニて
能とぎ上ケ能ふきて苗わらにて後とみがき
夫ゟ梅酢を能すり付其上へ水かねヲゆび
にてすり付其上へ銀はくヲ置べし是職人
の法也 但梅干ヲすり付ても出来候得ども
是にてハ跡ニて錆るもの也
又水かねハ沢山付るハ悪し少ツヽ程よくゆびニて
そろ〳〵とすり付べし