翻刻
【右丁】
●ぬいもよふいたし法
糸類ハ何糸何色にてもぬいをいたすぬい糸をいふ
丸金糸幷大白糸等ヲぬい付るハふせ糸といふ
金糸ハかば色のふせ糸ニて是ニのりヲいたし
能干上ケて遣ふ
艸木の葉ニハもへぎ糸又ハひわもへぎ糸等也
水ヲ縫ふニハ大白糸二筋幷てふせ糸を以付る
但都而何糸ニてもよりヲ懸るハ悪しよりヲ
掛ると糸のつや不出
一切のもよふぬい上ケて枠(わく)ヲはづす前ニぬいもよふ
の裏ゟ薄キおしのりを以付る此のり能干上りて
【左丁】
わくよりはづすべし
下絵ハ水ヲ不入只の粉おしろいニ而書也
地の切レハ左右ともわくへからぬいニぬい付る
ぬうニハ上へよりハ左り手ニ而針ヲ遣ひ右の手ハ
下江入置下ゟ針ヲ上へ突出スべし
縫い初ハ糸の崎へ結び玉ヲいたしテぬい初メ仕廻ニハ
糸の先ヲ長クのこし置テ是ヲのりニ而付る也
●虫歯其外歯薬 又方節分の柊葉ヲ
水ニ入置和らかニしてたゝミ
痛歯ニくわへ居るべし
青山宮様御門向横丁 かわ二軒目ニ而
御家人之由前田氏方ゟ出ス代三十二銅ツヽ
又方赤にしの貝塩ヲ詰て白燒ニして常々歯みがきニ遣ふ也