翻刻
【右丁】
●無名異(むめうい)の事 かた張たるニ而付手妙也
常ニせんじ用テ諸病之妙薬也
但土びんニてせんじ候事
無めうゐ者石州濱田金山ゟ出る金氣
最上之品ニ而例年石州御代官ゟ是ヲ
錫の壷ニ入献上有之夫ゟ御残御配り者
御支配ニ付御勘定奉行衆幷勘定吟味
役衆同組頭衆江も配り候事諸病ニ由
水替りニ由どくじんとうゟも厳敷品也
但製方ハ五百十五ニ有
●水替りニ妙薬
九年穂の皮を陰干ニして置尤ほそく
割ミて干が吉道中抔ニて水代りヲ給候節
此皮を能かミて夫ゟ水か茶も給るべし
【左丁】
●角を器物に作る法 小石川戸崎町
鎗師長左衛門傳之
鹿の角ヲ鮫ニて卸し細末し青竹の皮を外の方斗能取り
厚紙の如ニ削り是江角粉ヲ入テ夏月厠の壷の内へ入置
廿日程へて出ス右の角粉とろけて糊の如ニ成是ヲ物へ
延付細工スべし又是を堅シト思時ハ大根のしぼり汁に
ひたすべし堅ク成ル又ハ甘艸ヲ煎ジ出シたる水江入
置べし又方鹿の角ニ鮭の頭ヲ入煑るも和らかニなる
上ニ書たるハ古方也細工ニよりて難用秘中の秘には
角を鮫にておろすか又ハ鉄槌ニて枠【砕】き鍋ニ入水ハ
見合入て䗜蜒(なめくじ)を数拾ヲ修入て能煑る若解ざる内に
水干ハ別ニ湯を沸シ置是ヲさすべし如此すれバ後ハ糊の
如ク解ル若餅の如ニ而細工ニ仕がたくハ暫置べし堅ク成ルいか
よふの細工ニも出来候若早ク堅メ度ハ甘艸せんじ水ニ入て吉