翻刻
むかし〳〵三うらや
島太郎といふ【旧字表記:嶋太郎】
おとこありよの人
かれがいゑの名の
三うらやと名の
島太郎を一つにして
うら島〳〵と
よびけるが此
うら島ずいぶん
きようものにて
何をさせても
くらしかねぬ
男なれとも
かんじんのうんと
いふものが
つたなく只
ぶら〳〵と
くらしけるが
ころは六月
朔日の事にて
あさくさの
ふじへさんけいし
さいわい
まつさきには
島太郎が
おば有て
てんがく
みせを
出してゐたり
ければ
まつさきの
おばがかたへ
おとづれ
せう
ばい
ものゝ
なめしに
でんがく
にて
ちそうに
なる
【おばの?台詞】
〽でんがくなんぞ大しよ
くの心?をしらんと
申せば
おじき
なしに
くだ
さり
ます
【おばの台詞】
〽もつと
かへて【「食べて」の訛りか?】
まいれ
【おばの台詞】
〽この日ざかりにかへらずとうしろの
川ばたてゆるりとすゞみ夕かたに
なつてかへらしやれたいくつなら
つりさほをかしませう此ころの
にこりではよく
うなぎ
がかゝる
そう
さ
【おばの家の子、弟が姉にむかい、笹に作り物の蛇をまきつけたものを見せながら】
〽あねヱやおいらは
こんなものを
もらひました
蛇(じや)【台詞ここまで】
などゝ
子どもまで
しやれ
たがる