翻刻
丙戌姑洗中有一日
真寫
多識編山草類ニ曰
細辛(さいしん)《割書:和 比幾乃比(ひきのひ)|名 多比久佐(たひくさ)|》 《割書:異|名|》小辛《割書:本|徑|》
和漢三才圖會山草類ニ曰
細辛 和名 美良乃祢(みらのね)
予考
一説加茂葵を細辛とす非也細辛は其根甚辛故に
名矣和俗に云細辛は杜衡也と可考稱る杜衡と者有
別に葉形異なり其の根亂す細辛に者多し杜衡鬼督
郵徐長卿白微白前皆能偽る細辛に是者
謂根を杜衡は根を謂細辛と謂葉を杜衡と
謂れ勝たる者馬蹄香と
墨入細辛(すみいれさいしん)
關東細辛(かんとうさいしん)
予亦考に本草和解を細辛二八月に根を
採る一茎一葉あり葉は小葵に似て柔かに
茎補足根直にめ色紫に味極めて辛き者
を細辛とす和草の葉は葵の如く厚く
茎細く紫にめ土に付けて花あり味椒の気を
なして辛き味なし時珍日背の紫を良とす
る和の細辛可き然か面長く紫色の葉
なり只花實有るふを不説杜衡と云う者無
故に對め考る 無之故不詳味ひ あらは
真とすへき欤云々 予曰今日日本に杜衡あり
其の種類甚多し本和の時代杜衡なき欤