翻刻
【右丁】
しかれとも男子にても女子にても御子
ひとりもいてきさせ給はねはこれをの
みあけくれなけかせ給ひけるあるとき
ときとものきやうは北のかたにうちむかひ
おほせられけるはすてにわれ〳〵は大しやく
はんの御すゑとしてせつろく【摂籙=摂政・関白の異称】ちう代の家
たりこのときにあたつて一人もすゑをつく
へき子のあらされはたちまち家のたえなん
ことこそなけきてもあまりありいかなる
人の子をもやういくしてしそんをたえ
【左丁】
さしとおもふはいかゝはんへるへきとうち
なけきのたまへはきたの御かたはきこしめ
し【お聞きあそばし】されはこそみつからもこのことをこゝろ
くるしくあちきなくおもひ流れしかあれ
はとていまさら人の子をやしなひたてん
もほいなしねかはくはほとけ神にもいの
りてそれかなはすはいかにも御はからひ
あるへきことはこそおもひ侍れと仰られけ
れは大なこんとのきこしめしまことにこれは
しかるへき御はからひにこそあれしからはい