翻刻
【右丁】
へたり。こゝに伯翁居士(はくおうこじ)と申て。出家まさり
の人ありときく。これをむかいにつかはし。もん
どう。せさせみんとて。ひきやくをきやうへ。
さしのほせらる。そも〳〵このはくおうこじ
と申道人は。上京(かみきやう)のかたはらに。かすかなるあんじ
つをむすび。身にはあさのころも。かみぎぬ
ふゆは。かみのふすまに。ときのさいには。やき
しをばかり。ものさびたるていなり。ちうや
けんだいにむかいて。ないでんげてんに。めをまじろ
きもせす。わかきときより。ふつほうに。かたむ
【左丁】
いて。なんとにおいて。唯識論(ゆいしきろん)の。こうせつをきく。
三井寺にては。俱舎論(くしやろん)。なかんづく。せけんぼんを
きゝて。三千世界は。たなこゝろの内(うち)にあり。延暦寺(ゑんりやくじ)
に。とうざんしては。玄義文句(げんきもんく)。止観(しくはん)。首楞厳(しうれやうぐん)
戒経(かいきやう)いげ。十二年。ぢうさんしてこれをたもち。
むらさきのに。のぞんては。碧巌(へきがん)をきく【ゝヵ】。妙心寺に
したい。宗鏡録(しうきやうろく)。恵能(ゑのう)壇(だん)経。五さんにおいて。東波(とうば)。山谷(さんこく)。
文撰(もんぜん)とう。又 三輪流(みわりう)の神道(しんとう)ををこない。浄土
もんに入ては。選択集(せんちやくしう)。二蔵義(にざうぎ)いげ。まんほう一によ
なるところを。ざぜん。くふうして。かうのけむ