翻刻
【右丁】
くちにまかせて。しゆじやうをまよはす。あみだ
といふも。ほうぞうびくといふて。人げんなり
伝宇須と申は。天地かいひやくのほとけなり
きのふや。今日の釈迦(しやか)がほうに。だまさるゝは。きつ
ねにばかされたるがごとし。しかしながらくちの
よきまゝに。三 国(ごく)のぐにんともを。まよはした
るとみへたり。後室(こうしつ)のいはく。われはこれ。女の
身なれば。なにのしやへつもしらず。そのほうの
云(いゝ)ぶんも。くちばかりにて。まことしくもおも
はれす。しよせんは。きりしたんのうちの。物しり
【左丁】
たる。以娄慢(いるまん)をまさりて。御いで候へ。この方よりも
しやかのふつほうを。まなびたる人。を。たつね
もとめていだすべし。ほうもんに。いひかち
たる人の方へなるべしと。おほせける。いるまん
きゝて。それこそ。のそむところなれ。いつ
にても。御 左右(さう)しだいにまいるべしと。かた
くやくそくして。印留慢は。まかりかへりける。
後室(こうしつ)の云(いわく)。ぜんじやうどの。長老をよひたりと
も。きりしたんがほうは。しんたう。ないでん。げ
でんうちやぶりて。よこしまをいふときこ