翻刻
【右丁】
たまひて。すなはちきりしたんがてらへ。ししや
をたてゝいはく。がくもんくはうばくにして。べん
ぜつあきらかなり。いるまんこれへ。入御(じゆぎよ)候へ。やく
そくのことく。ふつほうの。せうれつをきかんと
侍(はんべり)りたまふときに。はびあんと申て。いにしへは。
禅坊主(ぜんぼうず)をちとみゑて。まなこのうちくろ〳〵
として。水(みす)のながるゝことく。べんぜつとゝこをる
ことなく。年(とし)は五十ばかり。伯翁(はくをう)は。六十四五。ふる
まひいぜんに。伯翁(はくおふ)と。式対(しきたい)して。四方(よも)山の。ざう
たんゑしやくす。既(すてに)その日くれて。らうそくを
【左丁】
てんじ。ほうもんにとりむすぶといへり。ちやう
もんしう。一二百人ばかり。ふすましやうじ。一ゑ
へたてゝ。しはぶきをもせず。しつまりかへつて。
きゝいたり。やゝありて。きやうばこを。とり
いたして。法花経。金剛経(こんがうきやう)。三部経(さんぶきやう)いげを。ならべ
をく。伯翁(はくおふ)これをみて。いや〳〵しやくもんの。だん
ぎめつらしからす。日本のちしきたちに。ちなみ
て。ちやうせきこれをきく。伝宇須の。まんほう
はかりを。ときたまへと。うちまげられて。
きやうばこにおさむる。これはきやうもんを