翻刻
【右丁】
よみたてゝ。あしくぎりをつけて。かたはし。
やぶりすてんためなり。さてさしきに。くはしの
入たる。ぢうばこあり。これをたとへて。印留満(いるまん)
が云(いわく)。此ぢうはこは。さしてあるへきが。ふりよに
いてきたるものかととふ。はくおうこたへて
云。大工(だいく)が指(さし)て。こくうよりふりわきたるもの
にてはこれなしといふ。いるまんがいはく。その
がつてんをもつてよくしるべし。伝宇須と申
たてまつる仏(ほとけ)は。てんちひらけはじまりたる
ほとけなり。そのかみは。空々茫々(くう〳〵ほう〳〵)として。一物も
【左丁】
なき処に。しんらまんぞう。人ちくさうもく。
日月ことごとく。つくりいだされ。せかいこん
りうと《割書:云| 云》そのさくしやをたつとまず。二
千年。三千年。このかたのしやか。阿弥陀を
ねんじて。なにのたよりにせんや。その上。釈迦(しやか)
の経(きや[う])せつはみな。無(む)のけんなり。伝宇須の。まん
ほうはみな。有(う)のけんなり。しかるに。ぜんをいと
なみ。伝宇須(でうす)の。御をきてにちがはざるものをば。
波蘿夷■雲と申て。たのしみをきはめ。安楽(あんらく)
にじうす。あく人をば。恚怒箆娄那(いぬべるの)と申て。
【波蘿夷坥雲・はらいぞう・パライソ(paraíso)・天国(上巻コマ8注)と、恚怒箆娄那・いぬべるの・インフェルノ(inferno)・地獄のことか】