翻刻
【右頁】
物(もの)なれども蛍火(ほたるび)朽木(くちき)生(なま)の海魚(うみうお)等(とう)の光(ひかり)と同(おな)
じものにて之(これ)を燐光(りんくわう)といひ皆(みな)それ〳〵理合(りあひ)
の有(ある)ことにて決(けつ)して怪(あや)しき物(もの)にあらす之(これ)
等(とう)の陰火(いんくわ)火(ひ)の玉(たま)等(とう)の訳(わけ)は二編に解(と)くべし
蟲類(むしるゐ)にて夜中(やちう)大ひに光(ひかり)を発(はつ)すものあり之
は大抵(たいてい)血(むし)の光にて其性(そのせい)熱(ねつ)なけれども毒(どく)あ
るものゆへ山家(やまが)に住居(すま)ひ又は夜行(やかう)をする
人(ひと)はよく之(これ)を慎(つゝし)み必(かなら)ず玩(もてあそ)ぶへからず
【左頁】
◯風(かぜ)の吹(ふ)く叓
風(かぜ)といふて別(べつ)に一種(ひといろ)のものゝあるにあら
ずして空氣(くうき)の流動(りうどう)するものをいふ其(その)状(さま)は
水(みづ)の流(なが)るゝに敢(あへ)てかはることなし其空氣
の流れ動(うこ)く故(ゆへ)は前(まへ)にもいへる如(ごと)く万物(ばんぶつ)何(なに)
物(もの)によらず熱(ねつ)を受(うく)れば脹(ふく)れて其 容(かさ)を増(ま)し
輕(かろ)くなるものなり空氣も温(あたゝか)なる処(ところ)にあり
て熱を受れば稀薄(うすく)なりて上に昇(のぼ)る理(り)なれ