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【右頁】
時(とき)も火事塲(くわじば)に風(かぜ)の強(つよ)き則(すなは)ち火事塲にあ
る空氣(くうき)は熱(ねつ)を得(え)て立昇(たちのぼ)るゆへ其(その)周囲(めぐり)の空
氣は其立昇りたる跡(あと)へ押來(おしきた)る故(ゆへ)なり
右は只(たゞ)目前(もくぜん)の證拠(しようこ)のみなれども世界(せかい)に風(かぜ)
の吹(ふ)くも此(この)理(り)にて一所(いつしよ)の空氣 日輪(にちりん)の熱(ねつ)を
受(うけ)て立昇れば地所(ぢしよ)の冷(つめ)【「た」の欠落ヵ】き空氣は其 塲(ば)を填(うづ)
めんと流(なが)れ来つて其塲を換(か)ふ斯様(かやう)に空氣
の流動(りうどう)するを風といふ
【左頁】
風(かぜ)は吹(ふ)く方角(はうがく)にも極(きま)りなく強弱(きやうじやく)にも限(かぎ)り
なけれども季候(きこう)と其(その)土地柄(とちがら)とによつて大(たい)
抵(てい)は定(さだま)りたる風のあるものなりゆへに此(この)
風のもやうを三に區別(くべつ)す
日輪(にちりん)の直下(ちよくか)に赤道(せきだう)といふ処(ところ)あり此(この)辺(へん)は春(はる)
夏(なつ)秋(あき)冬(ふゆ)四季(しき)とも他所(たしよ)より暑(あつ)さ厳(きび)しきゆへ
此辺の空氣(くうき)は絶(た)へず温氣(うんき)を受(う)けて立昇(たちのほ)り
他所の冷(つめた)き空氣は矢(や)の向(むき)に年中(ねんぢう)赤道の方(かた)