翻刻
【右頁】
光(ひかり)の清水(せいすゐ)を透(とほ)す時も矢張(やはり)折(を)れて斜(なゝ)めに入(い)
るものなり河中(かわなか)に游(およ)ぐ魚(うを)をつく者(もの)は其(その)理(り)
をしらずして自然(しぜん)にこれを識(し)るといふ今
魚の在(あ)る所(ところ)を突(つか)ばかならず其魚に當(あた)るこ
となし其 故(ゆへ)は今いへる如(ごと)く光(ひか)りの水中(すゐちう)に
入(い)りて斜(なゝめ)に折れるゆへ目(め)の見(み)るは真(しん)の魚
にあらずして虚象(かけ)の魚なり真(しん)の魚は少(すこ)し
わきの方に在り然(しか)し水の深(ふか)浅(あさ)によつて其
【左頁】
距離(へたゝり)に多少ありその理(り)を見(み)んとなれば茶(ちや)
【川の中の魚の虚像の図】
碗(わん)の中(なか)に
一片(いつへん)の銭(ぜに)
を入(い)れそ
の銭(ぜに)の見(み)
えさる所(ところ)
まで退(しりぞ)き
然(しか)る後(の)ち