翻刻
【右ページ】
あまり智恵(ちゑ)がないから。こつちから一《割書:チ》ばん降参(かうさん)するが上(じやう)
分別(ふんべつ)じやァあるまい歟(か)。《割書:アイサ》わたしも此間(このあひた)うぶめさんの
はなしで聞(きゝ)ました。さうなさるがよからうと。相談(さうだん)きはまり
入道(にふだう)は。支度(したく)とゝのへ今(いま)金時方(きんときかた)へと尋(たづ)ね行(ゆく)を。夢現(ゆめうつゝ)
とも辨(わきま)へず。狐(きつね)にばかされた心地(こゝち)にて。跡(あと)を慕(した)ひつき
歩行(あるき)しが此(この)一編(いつぺん)の首尾(しまつ)。利考(りかう)か馬鹿(ばか)か作者(さくしや)の胸中(けうちう)。
看官(ごけんぶつ)夫(それ)これを鍳察(さつし)たまへ。云尒【云爾(しかいう)、尒は爾の異体字】。
《割書:文政二季己卯秋稿成|同 三季戊辰春発兌》晋米齋玉粒戯述【印】米齋
【文政三年戊辰は庚辰の誤り】
【左ページ】
平灰【仄の意図的誤字】混乱
不均【均の扁を意図的に手偏に書く】韻字
小説(せうせつ)恰(あたかも)如_二河童(かつぱのへの)
屁(ごとく)_一。圗(づ)画(ぐわ)偏(ひとへに)似_二珍(ちんぶつ)
物店(みせににたり)_一。編成(へんなりて)綴(とづるに)
用_二 三眼錐(みつめきりをもちひ)_一。雨夜(あめふり)
寂見(ものさびし)_二片目兒(ひとつめこそうをみる)_一。
怪談(くわいだん)数回(すくわいの)狐表紙(きつねべうし)。謡曲(ようきよく)
一流(いちりう)狸腹鼓(たぬきのはらつゞみ)。古寺譚議(ふるてらのだんぎ)
敷_二金玉(きんたまをしき)_一。茶釜生(ちやかまげを)_レ毛稱(しやうじて)_二文福(ぶんぷくとよぶ)_一。
帰(みづに)_レ水(きす)海霊及雪女(うみぼうずとゆきをんな)。百鬼(ひやくき)消滅(せうめつは)公時功(きんときがかう)。
題_二化物稗史_一 藍亭玉粒賦