翻刻
【一丁裏】
此頃鎌倉の
はんしやうおひたゝしき
なかにも鎌倉のまん
中日本橋のにきわひ
あしたより夕部【夕べ】にいたりさかな
市の人くんしゆまことに土一升
金壱升【土一升金一升=土地の値段が高い事】といひならは
せしことく大商人のきを
ならへしなかにも徳わかや【後のページに「とく若や」とある】
万左衛門とて大金
もちの
人あり
北条和田畠山【鎌倉幕府の有力家人の名前が元ネタかと】の
三家へ出入御勝て
向【ご勝手向き】の御用をうけ給り
此外御流向【不用品払い下げのことか?】には
かち原大江佐々木【これも梶原大江佐々木で鎌倉の家人の名前かと】
とうへも立入御用金
とゝこほりなくさし
出しけれは諸家より
御ふち【扶持】御ちふくまん〳〵と【満々と=たくさん】
てうたいし【頂戴し】御殿つきの
小そて上下て
ひけらかし
けるゆへしかつ
へらしくそ
みへけるしかる
に一子万作
今年廿【二十】才
【二丁表】
にて御出入やしき
の殿様へすみ
じんひん【人品】こつがら【骨柄】
いひふんなくむすこ
一ひきとみへけるが
いかなることにや せう
とく【生得=生来】女きらいにて
女のてより物とらす【女の手より物とらず】
小袖さへ女のしたてたは
むさいとてきらひ 百
人しゆ【百人一首】をよむにも
小町清少納言いづみ
式部とうの歌はよまず
よつほどへんちき成 ̄ル
うまれつきなり
これ〳〵も?うさく□□【らう?】
とかくきかう【貴公】をおたのみ
申からせがれへおとかめ
なされてそうおうな【相応な】
ゑんだん御とりもち
たのみそんする【頼み存ずる】
これはもうさくさまの御
すゝめでなければ中〳〵
あのこか かてんいたす
まい はてきにさへ
入ましたらかるいものゝ
むすめてゝもすこし
もくるしからぬことさ【軽い者の娘でも少しも苦しからぬ事さ】
【画面右下 剃髪の男「もうさく」の台詞】
此きは【この儀は】
この
もう
さくか
いあん
のほかの
ちを
めくらし
さいか
しかう
ろ?へんを
もつてり
かいをとつ
ば【とっば=取れば?】かたやにおい
て石山金太夫
にもせよ御
とく
しん【御得心=ご納得】あらん
こと
かゞみ【鏡】
にかけてみる
かことし
これさ〳〵【ここより息子の台詞】
もうさく様
【左頁下】
めつたな
ことをおふせ
られますな 此
ぎはか
りは
おうけ
はいた
し
ませ
ぬそ
ひつ
きやう【畢竟:つまり】
つまを
めとるは子そんそう
ぞくのためなれば
おそからぬことすて
に大せい人こうしの【大聖人孔子の】
御ちゝしゆりやう
ごす【=叔梁紇】は六十ゆう
よにして【六十有余にして】かんし【顔氏】
をめとりかうし【孔子】
をうむとござ
ればせつしやなぞ
はまた四十年も
はやうごさる