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ろさはころしや。われもいきてそ有るべきかもろ共にとかねみちに取付なげき給ふ女ばうたちは
まづこなたへとをくにともない入給ふ。かねみち中宮にはぢしめられ。はうぜんとして。もはや此こいふつ
つと【ふっつと】思ひきらん。あゝ去【?】なからきるにきられぬは此こいぢ。なにとかせんとあんじくらすを。侍共そば
にゟ。何とてさやうに心よはく思召給ふ。此大みかどを打奉り給はゞ。此こいはかなひ申さんといへば。かね道
聞。さほどのたくみをならふべきか中宮此の事をはやみかどへそうせん。然れはいや共に打奉らねは
ならず。又てうてき【朝敵】の名を取もいかゞむかしゟてうてきと成本ゐをたつせしものひとりもなし。
まづ大とものわうしそがのいるか。大とものまとり平の正かど。其外あまたあれ共ひとりとして
かつ事なし。何とぞ我てうてきとならずして。本ゐをたつせし事あらんと。しばらくしあんして。
げに思ひ付たり。それ〳〵きんぎよく丸【金玉丸】をごくやゟいだせ。■てともない来る。くわんばく是々金玉こゝへ
より給へ。おそろしき事はなし。我々はもとこなたの下人なり。某が心にてごくやをたすけまいらする。日頃
わんざ【和讒、わがまま、勝手】をなし給ふゆへ。あく人なりとみかどげきりんにて。ごくやにをしこめ給へ共みかどへ申なをし参らせん。
何と其手はいたみますか。太子聞召此きすがいたむ・をゝさもあらん。■てこなたのぜんじやう【前生】をはなして
きかせん。もとぜんじやうはぐづうのおきなといゝし人成が。天子のはらに生れ来らんとて。よしのきんぶ
ぜんにこもりてねがいあるを。長れいといふはかせうらない出せは。みかど其おきなを打てこよと■き■
せ給ふと。中宮の御はらへくわいたいある。其後長れいにうらなはせ給へは。あく王なりとうらなふ。それ故
【左ページ】
御たんじやうの時はたにぞこにけんをつきたておき。やまゟたんじやうなさしめころさんとたく
め共。お命はたずかりべつぎなし。其けんさきゆびさきにあたりきれ給ふ。其きづせいじんするに
したがいいたみ出。五たいのほねにくさり。ついにはいのちをうしない給はん。それゆへはものをみ付給へは
をぢおそれにげ給ふ。是といふもみなみかどのなしたまへはこなたのぜんくわのからき也。何とみかどを
ころし給はんか。然らはこなたをみかどになし奉らんと。ちへもなき大しにむかしをかたり。すゝぬける。
たくみの程そをそろしけれ。太子しばらく聞。なにみかどは我〳〵ためにぜんくわのかたき成か。此ゆび
いたむに付てたすけおかれず。いかにもころし奉らんとかけ出給ふを。くわんばくをしとめ。そのはやまる
心にて何とてみかどをがいし給はん。いやつかみころしくれん物をとの給へは。其時侍共大ぜい太刀ぬき取まか【?】
は是■い有まじ其うへはものにをそれにけ給ふ身がなにとて本ゐをたつし給はん。我しあんにまか
せ給へ。■■せいりやうでんゟ御とも申来るべし。こゝにまちうけてごめんにし給へと。其やくそくを
なし。くわんばく御てんにあがれは。きんぎよく丸をある所にかくれいて。今や〳〵とまちにける。かくて
くわんばく太子の御事みかどへ申させ給へは。何金玉丸が心なをりて有けるとや。たみ百せい【民百姓】のためゆるし
ゑさせんと。御てんにいらせ給ふ所へ。太子召出にわう立【仁王立】たちけるを。おさきばらいうねめの介。大しを
み付なにものぞ。我は金玉丸也。みかどわがためにはぜんくわのかたき故ころさんために是に有こと。うねめの
介をかいつかみみかどを取てをさへ。すてに御命あやうきを。玉の井の内よりも。今川かづさの介中宮