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【一枚目(上段右)】
●御上屋敷
▲御中屋敷 るいせう道しるべ 上
■御下屋敷
【本文】
頃は文化八未のとし二月十一日昼七ツ時一ヶ谷
谷町より出火しておりふし西北風はけし
く念仏坂より二た口になり此へんの御組屋
しき残らずかつぱ坂安龍寺京恩寺此辺
一面になり西と北との大風三方へふきちらし
それより尾張様御長屋すみ少しむかふは
●松平摂津守様御屋しき残らず法弘寺より
四谷おたんす町坂町しほ町竹丁通は麹
まち十一丁目十二丁目十三丁目伝馬丁四丁目
角まで若まつ町おし丁おし原横町此辺
御組屋しき石きり横町てん王横丁くはん
おん坂蓮浄院真浄院安らく寺西念寺四
谷御門外■尾張様是より北風はげしく
石をとばすことく御堀はた通酒井様●松平
佐渡守様大久保豊前守様村松様此へん御
簱本様方あまたさめかはし坂迄残らすや
ける紀州様御屋しきへ出このときゑん〳〵
として四角八めんにさんらんす已にきのくに
坂下ふるや町ゆや町それよりあか坂御門
外よりそのつきにくわしきをしるす
【二枚目(上段左)】
おなしく 中
それより表うら伝馬町残らず御火消屋
しき○竹腰山城守様△松平出羽守様○井上
佐太夫様此へん御簱本様御屋しきあまた
黒鍬谷此へん御組屋敷残らず浄土寺浄げ
ん寺△松平安芸守様それよりにしか西風つよく
して火は下へ出るまた一ト口八田町一丁目より五
丁目までうらおもて不残○三浦長門守様一ツ
木町しんまち仲の町此へん御簱本様かた
御屋しきあまた△黒田びぜんの守様△相良
壱岐守様○水野日向守様なつめ様また谷町
八町家残らず相馬様御中屋敷御長屋ばかり
すこし此あたり御組屋しきよりなたれ
坂へ出る○真田様○松平日向守様○岡部様
○土岐ちから様○山口周防守様○松平大和守様御
うしろ長屋不残御火けし屋敷ようせんじ
てうせんじ○井上様○石川若狭守様○牧野
半右衛門様○本多兵庫様本多越中守様御上
屋しき○酒井出雲守様○稲垣摂津守様南
部内蔵守様御上屋しき此へん御簱本様かた
あまた市谷人町不残仲の町御簱本様方あまた
【三枚目(下段)】
そのおわり 下
扨また江戸見坂○土岐美濃守様山城御簱本
御屋敷あまた西の久保吹出町入門前てん徳
じ神谷町残らず○仙石越ぜんの守様○木下様
それより広こうじ清光寺青龍寺両門前町
切通し薬師堂境内にてやけとまる上は○水の
左近将監様永井町金池院宇津様○馬場
大助様かはらけ町通り不残○青木甲斐守様
○瀧川様森もとへんすこし此とき風は
すこししづまりて赤ばねばしへ出るとき
よふ〳〵八方の火せいしづまりてしめりしら
するかねの音におや子兄弟くんしん夫婦
あいおふてよろこびのこへ【「ゑ」とあるところか】ともろともに
明かたちかくなりにけり
右るいせうひのもとよりけし口迄のみちのり凡
壱里半御大名様御屋敷凡三拾ヶ所寺院町
家はかぞふるにいとまあらず
此三まいずりをゑんきんにかきらずこけふに
親をもてる人ははやく書状にふうじこみ
そのつゝがなきをしらさは一家一もんの人々
あんしんせばげに孝行の一助ともならんか