みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

箱根温泉誌 全 - 翻刻

箱根温泉誌 全 - ページ 31

ページ: 31

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猶(なほ)之(これ)に力(ちから)を得(え)て心(こヽろ)を励(はげま)し数多(あまた)の石(いし)を取除(とりのけ)んとす るに岩上(がんじゅう)より落来(をちきた)る瀧(たき)のしぶきに浸濡(したぬれ)て蓑(みの)も笠(かさ) も続(つヾ)かず又(また)大石(おほいし)風呂(ふろ)の口(くち)に横(よこた)はりて力(ちから)及(およ)ばずさ れど先(まづ)尋(たづ)ね出(いだ)せしを悦(よろこ)び此上(このうへ)は多(をほ)くの人力(じんりょく)を以(もつ) て堀(ほり)出(いだ)さんと其日(そのひ)は各々(おの〳〵)帰(かへ)りぬ次(つぎ)の日(ひ)十六七人 を催(もやふ)し彼處(かしこ)に至(いた)り彼(かの)大石(おほいし)を堀(ほり)出(いだ)さんとすれども 出(いで)ず又|次(つぎ)の日(ひ)人を倍(ばい)し辛(から)うじて取除(とりのけ)け得(え)ぬさて 此(この)風呂(ふろ)の形(かたち)を見(み)るに大いなる自然石(じねんせき)を圓(まろや)かに彫(ほり) て深(ふか)さは常(つね)の湯槽(ゆぶね)の如(ごと)く湯(ゆ)の湧出(わきいづ)る事|夥多(おびたヾ)しさ ればこそ究竟(くつきやう)の湯壷(ゆつぼ)なりとて其所(そこら)打(うち)片付(かたづけ)難所(なんじょ)な る道造(みちつく)りして帰(かへ)りぬ先(まづ)権現(ごんげん)へ神酒(みき)を供(そな)へよと罵(のヽし) り騒(さわ)ぎ皆々(みな〳〵)打(うち)集(あつま)りて祝(しゆく)しけり然(しか)れども隣村(りんそん)は未(いま) だ知(しら)ず予(われ)と弄花(ろうくわ)は兼(かね)て此七|湯(とう)の画圖(えづ)認(したヽ)めてさる 人(ひと)の頼(たの)みければ猶(なほ)其事(そのこと)悉(くは)しくせまく折(をり)しも此所(このところ) に宿(やど)りありし事(こと)ゆゑ所(ところ)の者(もの)彼(か)の風呂(ふろ)の事(こと)語(かた)りて 今回(こたび)文(ふみ)にも詳(つまび)らかに書加(かきくは)へたる由(よし)【懇 脱字か】切(ねんごろ)にいふにぞ さらば明日は彼處(かしこ)に到(いた)らんと次(つぎ)の日三人|案内(あんない)さ せ行(ゆく)に形(かた)の如(ごと)くの絶所(ぜつしょ)にて道造(みちつく)りせしとは雖(いへど)も 尚(なほ)九折(つヾらをり)の魂(たましひ)を驚(をどろ)かす小笹(をざヽ)に便(たよ)り篠(しの)に助(たす)けられて 谷(たに)に下(くだ)り谷川(たにがは)に至(いた)りては一人|先(さき)へ越(こへ)て手(て)を伸(のぶ)