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コレクション: STAGE1

箱根温泉誌 全 - 翻刻

箱根温泉誌 全 - ページ 38

ページ: 38

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 より木賀(きが)を望(のぞ)めば四方山(しほうやま)にて正面(しやうめん)早川(はやかは)の流(なが)れに  数箇(すこ)の大石(たいせき)散在(さんざい)し水勢(すいせい)之に触(ふ)れ絶景(ぜつけい)極(きわま)りなく実(じつ)  に仙境(せんきやう)に入(い)るの心地(こゝち)せり 木(こ)の葉石(はいし)  同所(どうしよ)仙石(せんこく)の辺(へん)より出(い)づ其石(そのいし)柿色(かきいろ)にして  石(いし)の面(おもて)に木(こ)の葉(は)の形(かたち)種〻(さま〳〵)見(み)ゆ諸国(しょこく)にも此類(このるい)多(おほ)し  と雖(いへど)も大概(たいがい)石(いし)和(やはら)かにして瓦(かはら)に似(に)たり同所(どうしょ)より出(いづ)  るは石(いし)甚(はなは)だ堅固(けんこ)にして雅致(がち)あり専(もっぱ)ら文鎮等(ぶんちんとう)に用(もち)  ひて可(か)なり 公時山(きんときやま)  此山(このやま)は昔(むかし)頼光(よりみつ)奥州(おうしう)の任(にん)果(はて)て上洛(しやうらく)の折(をり)足柄(あしがら)  山(やま)に至(いた)り彼處(かしこ)に雲氣(うんき)あるを見(み)て遂(つひ)に坂田公時(さかたのきんとき)を  得(え)たりよりて公時山(きんときやま)の名(な)あり又|竹(たけ)の下(した)に坂田(さかた)大  明神(みやうじん)の社(やしろ)あり公時(きんとき)を祭(まつ)りしといふ 八重山(やえやま)  宮城野(みやぎの)より西北(さいほく)の連山(れんざん)を都(すべ)て八重山(やえやま)と云(いふ) 足柄山(あしがらやま)  木賀(きが)より乾(いぬい)に當(あた)れる山(やま)をいふ此辺(このへん)総(すべ)て往(いに)  古(しへ)の街道(かいどう)にて関所(せきしょ)のありし所(ところ)なり 足柄(あしがら)明神(みやうじん)  一|名(めい)嶽(たけ)の明神(みやうじん)といふ祭神(さいじん)区々(まち〳〵)なり但(た〲)し  神鏡(しんきやう)を祭(まつ)れりとぞ俗説(ぞくせつ)に曰(いは)く昔(むかし)彼人(かのふど)の愛妻(あいさい)病(やん)で  死(し)せんとする時(とき)一|鏡(きやう)を夫(をつと)に授(さづ)けていふ若(もし)追慕(ついぼ)の  心(こヽろ)あらば則(すなは)ち此鏡(このかヾみ)を見給(みたま)へと云(いふ)て死(し)せり夫(をつと)悲傷(ひしやう)  止(や)む時(とき)なく教(をしへ)の如(ごと)く鏡(かヾみ)を見(み)れば亡妻(ぼうさい)の姿(すがた)猶(なほ)平生(ついぜい)