翻刻
の|顔(かんば)せの |如(ごと)く|写(うつ)れり|依(よつ)て|其(その)|鏡(かゞみ)を|祭(まつ)りて|神(かみ)とすと
|覚束(をぼつか)なき|説(せつ)ながら|此(こゝ)に|記(しる)しつ
|木賀(きが)八|景(けい) |旧(きう)|薬師堂(やくしだう)の|下(した)の|大石(たいせき)に|当所(たうしよ)の八|景(けい)を|彫(きざ)
めり|石碑(せきひ)|左(ひだ)り|方(かた)に
ひあふぎをまつ|湯(ゆ)あかりの|詠(なが)めかな |其角(きかく)
|湯用院月(とうようゐんのつき) |宮城野萩(みやぎのゝはぎ) |蛇骨川蛍(じやこつがはのほたる) |善司池葎(ぜんじがいけのむくら)
|富士暮雪(ふじのぼせつ) |金時峯嵐(きんときのほうらん) |豆海幽帆(づかいのいうほ) |宝林寺鐘(ほうりんじのかね)
すべり|石(いし) |同所(どうしよ)の|山(やま)を|少(すこ)し|登(のぼ)りて|左(ひだり)の|方(かた)にある|奇(き)
|石(せき)なり|石面(せきめん)に|句(く)あり 題蛇骨川蛍
|岩間(いはま)〳〵|浪(なみ)の|玉(たま)ちる|蛍(ほたる)かな 《割書:大華草跡庵| 班 瓢 白》
〇芦の湯
|抑(そもそ)も|芦(あし)の|湯(ゆ)といふは|箱根(はこね)の|嶺(いただ)きにありて七|湯中(とうちう)一
|等(とう)|高(たか)き|処(ところ)にて|土地(とち)|打開(うちひら)け|四方(しはう)|広(ひろ)やかなる|処(ところ)なり|此(この)
|地(ち)|高山(かうさん)の|習(なら)ひとて|風雲(ふううん)|常(つね)に|動(うご)き|硫黄(いわう)の|気(き)|衣(ころも)を|染(そ)む
|少(すこ)し|雨気(あまぎ)を|催(もよふ)す時は|霧(きり)|忽(たちま)ち|起(おこ)りて|咫尺(しせき)を|弁(べん)ぜず|故(ゆゑ)
に|諸(すべ)ての|雑樹(ざつじゆ)|育(そだ)ち|得(え)ず|桜(さくら)などは|枝振(えだぶり)|甚(はなは)だ|雅致(がち)あり
又|此地(このち)|常(つね)に|霧(きり)|深(ふか)くして|湿(しめ)り|勝(かち)なる|処(ところ)ゆゑ|家居(いへゐ)の|壁(かべ)
に|土(つち)を|用(もち)ひず|皆(みな)|板(いた)ばめにて|仕切(しきれ)り|鼓(つゞみ)|太鼓(たいこ)|三味線(さみせん)の
|如(ごと)きは|用(もち)ひ|終(おは)りし|後(のち)|直(たゞ)ちに|箱(はこ)に|納(おさ)め|火棚(ひたな)の|上(うへ)に|置(おけ)
り|浩(かゝ)る|湿地(しつち)にして又|湿(しつ)を|除(のぞ)く|温泉(いでゆ)あるは|寒(かん)|能(よ)く|寒(かん)