翻刻
りたれば、牡丹(ぼたん)、芍薬(しやくやく)、皆(みな)
散(ちり)て、四方(よも)の禾木(かぼく)は、緑(みどり)の
色(いろ)をなし、紫白(しはく)の藤(ふぢ)は、
咲乱(さきみだ)れ、蕨(わらび)薇(ぜんまへ)、萌出る、
大麦、小麦、穂(ほ)を露(あらは)し、
仕(し)農(のう)殊更(ことさら)繁忙(いそがわ)し、時に
向ひて、溝渠(こうきよ)修築(しうちく)し、
田毎に土を切反(きりかへ)し、牛(きう)
馬(ば)に鋤(すか)せ、糞(こひ)かひ、水
堰(せき)かけて、まづ苗代(なわしろ)の