翻刻
べし此仕法を俗に千本搗(センボンヅキ)と唱(トナ)へて素人業(シロフトワザ)にて手
軽き仕法也
〇海浜(カイヒン)或は大河の辺(ホトリ)にては大暴風(タイバウフウ)【左ルビ:アラシ】竜巻(タツマキ)大|津浪(ツナミ)
等にて居宅(イダク)を吹潰(フキツブ)し屋根を桁上(ケタウエ)より吹とられ或
は土臺と柱と引放(ヒキハナ)され破壊(ハエ)するに至り大津浪の
節は勿論土臺と柱と屋根と各別れ〳〵になる事
あり又家宅|潰(ツブ)れざれは溺死(デキシ)はせまじきに屋舎破(オクシヤ)【左ルビ:イヱ】破(は)
壊(エ)するが故に二階屋上(ニカイオクジヤウ)にて凌(シノ)ぐべき術(テダテ)も尽遂(ツキツイ)に溺(デキ)
死(シ)に及(ヲヨ)ぶ歎(ナゲカハ)しき事ども也尤居宅を地震|予防(ヨバウ)の
法に製造する時は潰(ツブ)れる程の事は決して有べからずされ
ども建地(タテチ)は土臺の上に載(ノセ)て短小(タンシヤウ)のほぞを入れ屋上は
地廻りの桁上(ケタノウヘ)に載(ノセ)たる斗なれば大津浪大|暴風(アラシ)にて
あほらるゝ時は必ず放(ハナ)れ〴〵になるべし故に大津浪
大暴風竜巻の恐(オソレ)ある郷里(ゴウリ)【左ルビ:ムラサト】にては大|鎹(カスガヒ)を以て土
臺と柱とを内外より各二本柱|毎(ゴト)に都合(ツガフ)四本宛
厳重(ゲンヂウ)に打附|繋(ツナ)ぎ留(トメ)又柱と桁と家根具(ヤネグ)と皆悉く