翻刻
大|鎹(カスガヒ)を以て繋(ツナ)ぎ留る時は大暴風竜巻の災害を
脱(ノガ)れ縦令(タトヒ)大津浪たり共|軒端(ノキバ)以上屋根上まで至ら
ざる時は溺死(デキシ)を免(マヌカ)るゝに至るべし
〇凡大津浪の恐(オソレ)ある海浜(カイヒン)などに便利(ベンリ)により家
作して住居せんと欲せば前〻其処の津波の高下
を問糺(トヒタヾ)し土石を集(アツ)め地形を平地ゟ四五尺或は六
七尺も高くすへし其土石を積(ツム)の始(ハジメ)に家の間数を積(ツモ)
り四隅(ヨスミ)に当る処江長 ̄サ三尺の尺石(シヤクイシ)を居(スヱ)四隅ともに其
石江|極太(ゴクブト)の銅線(ハリガネ)長 ̄サ一丈斗 ̄リに切たるを凡十本宛からみ
付ねぢ留(とめ)其|銅線(ハリガネ)を建(タテ)て地上に引出し築礎(チクソ)して土
臺を居(スヱ)たる時四隅とも土臺にからみ聢(シカ)とねぢ留置
べし是亦手軽にして費(ツイエ)なく如何なる大津浪に
ても家の流(ナガ)れ動(ウゴ)き出すの患なく且大暴風竜巻
にも堅固なるべし尤家の大小に寄(ヨリ)銅線の増減(ゾウゲン)も
有るへし
【これより後は、原本では割書きルビ付きであるが表記ができないので通常どおり記す。】
此條は当辰年八月廿五日夜の大暴風津
浪にて深川海辺ゟ砂村燈臺嶋辺(スナムラトウダイシマヘン)の難渋(ナンジウ)を以
察(さつ)す
べし