翻刻
のすねあてし” めうほうれんけのつなぬきはき” にんに
くしひ【注①】のよろひを” くさすり【注②】なかにきくたしてあの
くたら三みやく三ほたひ【注③】の五まいかふと【五枚兜】をいくひに
き【注④】” しのひのを【注⑤】ゝそしめたりける” かうまりけん【注⑥】のた
ち【大刀】【「ろ」に見えるが誤記ヵ】” まん十もんし【真十文字】にさすまゝに” 大たうれんといふつ
るき” あしをなかにむすんてさけ” けんみやうれんと
いふほこもつて” 舟のへいた【舳板】につつたちあかる三百
よ人のつはものとも” 思ひ〳〵にいてたつて” はし舟【注⑦】お
ろしおしうかへすてにかけんとしたりけり” たうのい
くさのならひにてみたんに【みだりにヵ】かくる事はなし” てうし【調子】を
とつてかく【楽】をうつてひやうしにあはせかけひくせい
そろへの大こは” らんしよ〳〵しよつてうし” かけよと
【注① にんにくじひ(忍辱慈悲)=さまざまの侮辱や迫害を耐え忍んで慈悲深いこと。】
【注② 草摺=鎧の胴の下に垂れて、大腿部を覆うもの。】
【注③ 阿耨多羅三藐三菩提。完全な悟り。】
【注④ 猪首に着=兜を逆さにあお向けて深くかぶること。】
【注⑤ 忍びの緒=兜の緒に対する近世の通称。】
【注⑥ 降魔利剣=悪魔を降伏させるという剣。】
【注⑦ 端舟(はしぶね)=本船に付属して、その用事をする小舟。】