翻刻
のをつく時” ふきやうのふ【別本「む」】ちをちやうとうつ” にくる【逃ぐる】物をお
ふときには” せんきやうあをりのあふみのふ【別本「む」】ちをき
よくしんたい【注①】にのつたりけり” にしからひかしへきつてと
をる時には” 三百よ人かあとにつゐてこゝをせん
とゝきつたりけり” いれかへ〳〵たゝかへはしゆらかいく
さはこたれ【注②】かゝつてかなふへしとも見えさりけり” さう
大しやうのまけいしゆら” 八めん八ひを” ふりたてゝやつ
したのほこをうちふり” うちしにこゝなりとおめき【注③】さ
けんてかけにけり” 万こ是を見て” かなふ【叶ふ】へきやう
あらされは” うしほゝ【「を」の誤記】むすひてうつ【手水】とし” しよ天【注④】に
ふかくきせい【祈誓】する” しかるへくはくはんせをん【観世音】ひくはん【悲願】
かな【別本「たか」】へ給ふな” ふいくんちんちう” ねんひくはんをんり【注⑤】
【注① 曲進退=軽快に前後へ自在に動く事。またそのさま。】
【注② こだれる=勢いがゆるむ。】
【注③ 「わめき」に同じ。】
【注④ 諸天=神々。】
【注⑤ ねんびくわんをんりき(念彼観音力)=観音の力を念ずること。】