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つしまのない” 事ゆへなくはしりすき” 九国の地をはゆん
て【弓手=左手】にみてさぬきの国にきこへたるふさゝきのお
きをとをりけり”《割書:ことは| 》 かゝりけるところになかれき【流木】一ほん
うかんてあり” すいしゆ【水手】かんとり【注①】是をみて” こゝにきた
いなる木こそ候へ” 此程の大風に” 天ちくたうとのちん
かう【沈香】はしふかれてなかるゝやらんと” 人々あやしめたり
けれは” 万こ是をみて” 何のあやしめ事そとりあ
けよとけち【下知】をする” 御ちやう【注②】にしたかひはし舟お
ろしとりあけ見るに” ちんかうにてはなし” あやしや
わつて見よとて此木をわつてみるに” 何とこと
はにのへかたきびしん一人おはします” すいしゆかん
とり是をみて” おのまさかりをなけすてゝあつと
【注① かんどり=「かじとり」の変化した語。舵取り。】
【注② 御諚=貴人の仰せ。】