翻刻
う【三明】六つう【通】まします” 是は一ゑにくわこにして” しよはらみ
つ【諸波羅蜜】をきやう【行】せし”《割書:かゝる| 》そのとく今にあらはれて仏となり
給へり” たとひ一とはたきの水” にこりてすまぬもの
なりと” つゐにはすみてきよからん” 恋には人のし
なぬか” さてもむなしく恋しなは” 一ねん五百しやう【注①】”
けんねん【注②】むりやうこう【注③】しやう〳〵せゝ【注④】のあひたに”
つきせぬうらみのふかうして” ともにしやしんとなるなら
は” 仏にはならすしてしやたうになかくおつへし”
かいのしなあまたあり五かいをよくたもつては” 人間
とむまれて” 五たい【体】をうくるなり” 十かいをたもつて
は” 天人とむまれて” 五すいをうくるなり” 二百五
十かいは又” しやうもんとむまれて” 仏にはなりかたし” 五
【注①一念五百生=わずか一度、心に妄想を抱いただけで、その人は五百回もの回数にわたって輪廻しその報いを受けるということ。】
【注② 縣念=気がかりに思うこと。】
【注③ むりょうごう(無量劫)=非常に長い時間。】
【注④ しょうじょうせせ(生生世世)=生れては死に、死んでは生れることを永遠に繰り返すこと。世世は代々。】