翻刻
給る” そのすいしやうのたま” みつからに一夜あつけさせ
給えどもかくもおほせにしたかふへし” 万こ此よし
きくよりも” あらしやうたいなや” よのしよまうか
とこそ思ひつるに” 此すいしやうの玉にをひては”
中〳〵思ひもよらぬ事なるへしと” ふつと思ひき
りけるかいや” 何ほとの事の有へきそと思ひ
なをし” さても〳〵御身は” 何として御そんし候ひ
けるそ” やさしくも御しよまう候物かな” さらは
そと【注①】” 《割書:かゝる| 》おかませ 申さんとて” くろかねしやう【錠】をさ
しいんはんをもつてふうしたる石のからうと【注②】の中
よりすいしやうの玉をとりいたし《割書:つめ| 》りうによのか
たへわたす” けいせいとかひては” みやこかたふく
【注① 少し。】
【注② 「からひつ(唐櫃)」の音便形「からうつ」の転じた語。】