翻刻
此玉をとらん事” こんしやう【今生】にてはかなふましましてみ
らいてとりかたし” おほしめしきり給へ我君とこそ
申けれ”《割書:ことは| 》かまたりきこしめされて”さては玉のあり
ところをたしかに見つる物かな” ありとたにも思ひ
なはとりゑん事はし【別本は「けつ」】ちやう【注①】なり” りうともゝはかり
事をめくらしてたはかつてとりたれは” 我もたく
みをめくらしてたはかつてとるへきなり” 《割書:いろ| 》それり
うしんと申は五すい【注②】三ねつ【注③】ひまもなくくるしみお
ほき御身なり” 此くるしみをまぬかる事は” しらめ【別本「へ」】
のをとによもしかじ” 《割書:ことは| 》こゝをもつてあんするに” り
うわうをたはかるならは” まひ【舞】とくわんけん【管絃】にてたは
かるへし” 此うみのおもてにごくらくしやうと【極楽浄土】をま
【注① けつぢやう(決定)=疑いない。】
【注② 五衰=天人が死ぬときに現れる五種の衰えの相。】
【注③ 三熱=龍蛇の身が受けるという三種の苦しみ。一は熱風、熱砂のために身を焼かれること。二は悪風のために住居や衣服を失うこと。三は金翅鳥(こんじちょう)に襲われて食われそうになること。】