翻刻
すみとつて” こしにつけたるやくそくの” ぬのつ【「す」は誤記ヵ】なを
ひけは” せんちう【船中】の人々” あはややくそくこゝなりと
てんてにつなをひきにけり” あまはいさみてかつ
けは” 上よりもいとゝひきあくる” 今はかうよと思ひ
けるに” 玉をまほる【注①】せうりう【小龍】” 此よしを見つけ” あと
をもとめておうことは” たゝみつはのそや【注②】をいるこ
とく” せんちうの人々” あはやほのかにみゆるは”《割書:つめ| 》 くりあ
けよとけちするに” あまのあとにつゐては” 一つの
大しやおうてくる” たけは十しようはかりにてひれ
につるきをはさみたてまなこはたゝせきみつ
の” 水にうつろふことくなり” くれないのことくなる” した
のさきをふりたてゝ” すきまなくおつかくる” あま
【注① まぼる=まもる(守る)。】
【注② 三羽の征矢=三枚の矢羽を付けた征矢(実戦用の矢)。早く飛ぶので、非常に早いことのたとえに用いられる。】