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【右丁】
手許より火起り後炎にて災近隣に及せり《割書:先代庄八の実子当庄吉か先妻|秋の第三弦弾清元権平田町数》
《割書:の内とよへる新道に住居たりしか其妻と男子|妻の母三人共に家潰て死す権平は存命なり》
三河町四丁目裏町 清元佐登美太夫話
〇醤油御用達石渡庄助若年の頃酒色に沈り【ふけり】終に家産を破り浄瑠
璃語となり清元慶寿【壽】太夫といふ又国芳に浮世絵【繪】を学ひて哥川芳勝
と云山の宿《割書:藪の|うち》九品寺の側に住しが家潰れて死す妻は残れり替りた
る話にもあらねと知る人故こゝに記す
加藤岩十郎殿話
〇本所石原外手町続【續】 寺の所化【しょけ=僧侶の弟子】弱年なりしか僧律【僧の守るべき戒律】を犯し師の
勘当を受て後皈【帰の異体字】俗して浅草堀田原の辺なる俗縁の方に食客たりしか
【左丁】
地震に彼寺潰れ住職も計さる禍に罹り寂を示しける後住たるへきもの
なかりしかは彼の所化何某は一旦の過あり共幼稚より当寺に在りて生長
したれは彼こそ勝るへしとて檀越【だんおつ=施主、檀那】より本寺へ乞て後住たらしめたり
加え先住の遺金八百両を其儘譲受たりとぞ
猿若町三丁目 近江屋ふぢ事栄吉話
〇猿若町俳優の輩其余【餘】この三町怪我少し去冬焼て普請新らしく
して潰家尠きか故しかりしなるへし芝居三座も潰れすして焼たる
由也《割書:三座の跡梁はかり|焼のこりてありし》
〇猿若町二丁目 鱗(ウロコ)といへる酒屋のあるし并に召仕死したり外に怪我人
は無之よしなり