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【右丁】
にて同僚三人にて結たるか地震に恐怖して二人はうろたへ下り
たり三津間氏は残り止り火事毎に太鼓を打て方角ヲ呼たり依て
是を賞【ほめ】られ是迄見習勤なりしかあらたに同心に召出され驚きて下
りたるものは御叱り有てしはらく禁固せられけるとそ
〇小川町雉子橋通何某殿長屋を借りて住る水戸山野辺家浪人某
は不断酒ヲ好みしか此時も夫婦とも酔臥したり妻ふと目覚たる
に何やらん床の上重く世間の騒きに怪しく思ひ手をのはして夜
着の上をさくるに此家の天井葭簀【よしず。蔶は竹冠の誤り】にてありしか頭上に覆拭り
たり夫を起しけれは此時覚て考居たるに近隣の人弥【いよいよ】立さわ
きける侭地震なるやと心付天井ヲ破り家根より這出て夫婦
【左丁】
共更に怪我なし
〇川田窪の人小川町何某殿屋敷にて碁を囲みて居たる時家潰て
梁の下に成たりされと物に支へられて存命や然るに其屋鋪の家
来二三人にて梁をかゝけんとするに力及はす往来の者壱人頼み
て上んとすれと叶はす隣家より出火して次第に̪熾(ヤケ)近付に各
当惑し子火近付ぬといふ潰家の下なる男いふ迚【とて】も死へき命な
らは火にあふられんよりは一と思に殺しくれよと頼けれは各是非
なき次第なりさらは叶はぬ迄も今少し掘て見よとて人々脇差
ヲ秡【「抜」の意】屋根の上より穿ちけるに下なる者の手足に当たるをきらひ【はばかること】
なく穿ち白刃の先数ヶ所当りけれと辛ふして助出たりとなむ