翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

地災撮要. 巻7-9(地震之部) - 翻刻

地災撮要. 巻7-9(地震之部) - ページ 126

ページ: 126

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【右丁】  らす其内あたりより火起り起りたれと微力の輩いかんともする事ならすし  かるに彼娘迚も助命なくかたき【困難】をかこち【恨み歎き】早く立逃給へといふうち次  第に火熾【さかん】になりたりしか又云親の逃行さまと火勢を見ん事心くる  しけれは面を覆ふて給はれといふまゝ着たる衣類を脱て打かふせ止  事を得す立退しか思そのやるかたなさ母は狂気のことくにて焼鎮  る迄この所を去らす守り居りしと思ふに信州の地震をいとひ江戸に下  り又其地を去て一夜こゝにと泊りしこの禍にあひしも宿業のいたす所か 〇浅草三間町のあたりにもやあるらん裏屋を借りて住けるもの常に浅  草寺なる観世音を信仰しける居宅にも同寺の守札【原文の字は「礼」】を箱に入て柱に  かけ置しか此夜家潰れ巨材落懸りし時あるしのいね【横になって眠る】たるかたはら 【左丁】  に彼札箱も落たりしか堅さま【「方様」カ。その方向、その向き。】になりて材木をさゝへしかは不思議  に命助りしはまたく【まったく=確かに】観世音の利益なるへしといひあへりとそ 〇同し辺なる木匠何某朋友にいさなわれて此夜花街に遊ひしか  地震に家潰れし時辛うしてともに助りたれと忙【「茫」の誤りカ】然として坐した  るまゝ人事を知らす朋友手を引て破壊の材木を溝に架【かけわた】して  渡りつゝともなひ帰りしかそれより後は放心して家職の事もう  ちわすれ痴々獃々【痴も獃(ガイ)もともに「おろか」の意】としてする事なく世渡りのたつき【たづき=手がかり、手段】を失ひけるよし  かゝるたくひも又あるへしとそ                        宮薗栄吉話 〇本所辺の人三人連立て九月晦日の頃谷中の辺へ所用ありて趣きける