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小網町伊勢町本船町小舟町堀江町茅場町新川新堀等の如き河
岸地等土蔵を以て垣となせるも悉く壁堕て下地の竹をあらは
せり《割書:箱崎橋少々|損る》
〇内神田町々西の方は一円去冬の火災に遭家作新しき故潰家
少し土蔵壁落たるは外にからす平永町の辺《割書:普請|古し》は潰家甚多し
《割書:所により強きと弱き格別の相違ありおのれか家はさせる痛なしこれは|板葺に瓦を上させる故と且造作の新しきと近辺地震のよはきなり揺止》
《割書:て後も行燈の火消すしてあり土蔵の|かべは外に同しく震落したり》
〇町の火之見櫓土中を堀て立たるもの何れも恙なし
〇吉原町は地震一度に大 厦(カ)覆(クツカヘ)り壓(ヲシ)に打れて死る者算ふへからす
間もなく京町弐丁目江戸町壱丁目より出火し其余潰れし家々より
次第に火起りて一廓残らす焼亡しけれは焼死するものも又
枚挙に遑あらすとそ大門の外五十軒道は北側計り焼残り
たり日本堤少し割れる《割書:此里は弘化二年の冬やけて翌年|普請成就し今年迄十年に成る》
五日の呈状死亡六百人とありしは此地の人別によりて大畧しか
るのみ客の人数其外諸方より入込しを加へなは千人にして
猶足らすと聞り《割書:海老や玉屋大墨屋は潰れすして焼たり故に怪我|人少し其外潰れすして焼たる家々は怪我人なし》
廓中土蔵焼失百八十八戸残れるもの僅に四戸の吉原後非人頭
善七構内焼失す《割書:所謂浅草溜なり罪人其外|焼死怪我人等多かりしとそ》
《割書:抑此夜都下の急変いつれも同し轍しなれとわきて花街の騒劇|いふへくもあらすいまた夜更るとにもあらされは毎家酒宴に長し哥舞》
《割書:吹弾の最中俄に家鳴り震動して立地に崩れけりうつばりくぢけ|柱折れ其物音は雷よりもすさましく魂中天に飛んで二階を下んとす》