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翻刻
【右丁】
崩る
〇品川宿駅舎聊傾るもありしか潰家なし怪我人も又これなし
妙国【國】寺題目碑折れる伊皿子薬師堂潰る
〇品川沖二番の御台【臺】場建物潰れて土中へ埋込出火あり会【會】津侯
の士此所にありて即死するもの凡十六人援りしもの海を渉り辛
ふして逃のひしよし幸にして合薬【ごうやく=火薬】には火気移らすして止ぬ
此内の火四日程燃て臭気甚しかりしとぞ其余【餘】の御台【臺】場も
石垣損し多し
〇永田馬場山王御社無別条石鳥居《割書:一の鳥|居なり》倒れ石は砕けず
赤坂氷川明神社無別條
【左丁】
〇四谷は見附大破御門外町屋《割書:御堀端|而已也》破損あれと其余【餘】は大方
穏なり麹町市ヶ谷の辺も又然り九段坂上番町辺穏にて潰家
なし内藤新宿無別条都而【すべて】湯嶋麹町駒込牛込小石川四谷赤
坂市ヶ谷麻布等之辺高き所は動揺少しされは潰れ家も尠し
凡山の麓川沿添の地は別て【別して=ことに、特に】強しと見ゆ
右に誌るは親戚知己の安否を繹(タヅ)ねて履歴せる所々親
しく看(ミ)かつそのわたり人にも問ひて記しつけぬる也其余【餘】は
踵をめぐらすに遑【いとま】なければやみつ
鶴岡放生会【會】職人寄合壁塗
ふるさとの壁のくつれの月影はぬる夜なくてそみかへかりける