翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

地災撮要. 巻7-9(地震之部) - 翻刻

地災撮要. 巻7-9(地震之部) - ページ 29

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【右丁】    建保二年職人寄合同     しのべとも下地よはなる古壁のたゝこほれなる我泪【「涙」の異体字】かな 〇江戸中倉庫の壁落ざるは稀なり大抵壁落右にふれて死せる者  夥しく火事ある所の土蔵はたま〳〵壁落すして全しと見ゆる  ものは窓牖【そうゆう=まど。(「窓」も「牖」も「まど」の意)】を塞たれと透間より火気通りて大概焼亡ひたり武  家寺院の土蔵全きはなし神社の石鳥居石燈篭寺院の石仏【佛】  宝篋(ハウキヤウ)塔碑檀石の類或倒れ或は砕けたり 〇市店の内本家全ふして庇のみ離れ大路へ頽落たるが多し《割書:逃|出》  《割書:る時頭上ゟ落来て|怪我をせしものあり》 〇此夜揺却しを怖れ貴人は庭中に席を設けてこゝに夜を明し 【左丁】  給ひ雇人は家潰又は傾きて住居ならさる故大路に畳を敷て野  宿する者巷々に滿つ翌日よりは引続戸障子畳等にて囲ひ仮そ  めの小屋をしつらへてこゝに住居する者多し又傾たる家は丸太を  以て扣とし往来の道に横たへ土蔵の壁土瓦等を積て自在に  通行なりかたし《割書:是は中分の所のさまなり本所深川の地は両側ゟ大路へ|倒れかゝりし家あり又潰れて道路へ落重れるあり行人》  《割書:は漸々に屋根の上を|這ひて歩行しなり》【「中分」=半分に分けること】   《割書:往来に水トンといふものを售ふもの多し温|飩の粉を汁に入たり一杯八文或は十二文位》 〇諸侯の妻室男女共此禍に罹【「羅」に見える】られし俦もあまたありとそ附ては重  代【祖先から代々伝わること】の名器刀剣甲冑書画茶器の類冨家の珍蔵せるもの寺院神社の  交割(シウモツ)等世に稀なる財宝此 旹(トキ)【「時」の異体字】に当りて一片の烟となりし事歎息 すへし《割書:寺院の本尊は|大方恙しと聞けり》火災に遭たる所の質屋は悉く倉庫を焼た