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【右丁】
内小山の如き物一時に出来側に大なる浪の如きものを生じたり
人家各潰怪我人多しとそ
〇新宿中川屋敷屋といへる旅舎も潰れて旅各【旅客のことか】倶に死したり
とそ平井燈明時山門傾き鳥居倒る徳願寺損多しははた大
石燈篭倒る
〇逆井の辺にて土中裂け七石余【餘】の麦土中へ落入て出る事あらす
〇深川にて米蔵へ押入数の米苞を奪取し盗賊北町奉行所に九人
追々に召捕わる《割書:無宿にもあらて店持の|溢れものゝよしなり》
〇千住其余【餘】三昧【さんまい=死者を火葬したり、埋葬したりする場所】の寺院死骸山の如く荼毘の事届かす多分は断
りに及ひしかは止事を得すして家族しるへのものこれを焼く
【左丁】
〇死人を寺院へ措て逃るものあり寺院にても拠なかりし是を葬る
頑?て戒《割書:号|名》は亡者の来らぬ先に男女の戒号を拵へ置き来るに随ひて
順々に渡しける所もありし由なり
〇丸の内武家方には雑人【ぞうにん=社会的身分の低い者】の死骸 斃馬(ヘイバ)等等車に積出す事夥く夫
々寺院へ送しるゝ《割書:或諸侯には一夜に十二車の屍を送られし日もあり|けるとかや其余の家々も又右の類なり》
〇本所回向院より此度の横死人取置の事回向料布施物等を
受すして取扱ひ永世供養いたし度旨官府へ願出しにより市
中に其旨を徇【ふ】れらるよつて当寺へ療蔵する【「療蔵」という語は見当たらず。「いやし、くら(暮)する意か】もの幾百人といふ
事を知らす 〇去る子年より火の用心の為天水桶に四斗樽を
用ひ家々の前へいくらとなく並へ置しか今度の凶変に野辺送り