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【右丁】
△向島に狐付あり檻(ヲリ)へ入置しに大地震あるへき間檻より出
して呉よといひける
△大窪の辺御家人何某庭中より蚯引【「蚯蚓」=みみず、とあるところ】の夥しく出るを看て
是地震の兆也とて九月末より庭中に野宿す近隣の輩是
を識りしか果して地震し家潰れたれと合家怪我なかり
しとそ
この余【餘】元儁子の談あり未に二三条をしるす
加賀町 田中平四郎殿話
〇二日昼深川辺にて堀抜井を掘らんとしけるに地の底鳴りて
仕来ならす老練の職人なりしかかゝる事は是迄聞も及はぬ
【左丁】
よし云て其日は仕事を止て帰りしとそ
〇山王町なる髪結何某外に十九人相知れる朋をかたらひ【誘い】二日の夕
海上へ漁猟に出たりしか地震の前東北の方へ時に明るう成り各
着たる衣服の染色模様まで鮮(アサヤカ)に見分る程なりしか頓て海底よ
り鳴渡りて船底へ砂利を打当るやうに聞えて恐ろしかりしが又一
団の火炎空中を鳴渡りしに弥怖ろしくなりて船を陸へ附しには
や地震の後にて始に着替の衣類所持の調度なと預けたりし永代
橋際の茶店も潰たれはその中を穿ちて品々を取出し危くして
家に帰りしとそ
新右衛門町 文鳳堂山城屋忠兵衛話